私たちは、豊かな食文化の実現を目指すとともに、環境負荷に配慮した製品づくりに努めるなど自然環境の保全に積極的に取り組んでいます。
原料リサイクル化の実現(平安海産あら粕吸着飼料プラント)
当社グループでは、熊本県天草市にある有限会社平安海産にて、ブリの「あら残渣」を利用した「あら粕吸着飼料」を製造しております。
「あら粕吸着飼料」とは、ブリのあら残渣を穀物粕に吸着させて混合・乾燥処理したもので、飼料用原料である魚粉の代替となります。平安海産ではブリのフィーレ加工事業を行っており、副産物として頭・中骨等の「あら残渣」が発生しますが、以前はそれを有効活用できていませんでした。
現在、平安海産と当社が原料の製造とその有効活用を役割分担して、グループとしてあら粕吸着飼料の製造に取り組んでいます。この事業は養殖ブリから発生する「あら残渣」を魚粉・魚油に変換して、当社の養魚用飼料の原料へと戻す、循環サイクルを作り出す画期的な取り組みです。
昨今の魚粉をはじめとした飼料用原料の価格高騰および供給不足リスクがあるなか、当社グループの事業領域を活かしたSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みとして、この「原料リサイクル化」の事業を進めることで、限りある「水産資源保全」にも貢献してまいります。
ツナ・フードで養殖マグロの品質向上、海洋環境への負荷低減に貢献
ツナ・フードとは、林兼産業とマルハニチロが共同で開発した養殖マグロ専用の飼料です。魚粉・魚油に各種の栄養補助成分を配合した軟らかい飼料を特殊な皮で包んだソーセージ状で、世界に類のない新型配合飼料です。配合飼料でありながら生餌並みの摂餌性を持ち、マグロを効率良く成長させる最適なカロリーバランスを実現しました。保存性、飼料効率にも優れ、マグロ生産の省力化に寄与します。
これまでのマグロ養殖では、サバなどの小型魚を生餌として用いてきました。しかし生餌は、漁獲量の変動、輸送・保管にかかるコストなど課題が多くあり、また、海洋環境保全の観点から、より優れた養殖用配合飼料の開発が求められています。餌が肉質とその味に与える影響は大きく、栄養成分や大きさを調整できるツナ・フードは養殖マグロの成長促進、肉質のコントロールを可能にします。また、その形状の特長から食べこぼしがなく、海中に栄養成分が溶け出すことがないため水質を汚さない、環境にやさしい飼料であり、持続可能な開発目標(SDGs)にも応えています。
今後もさらなる品質改良に向けて研究開発をすすめていきます。
地球温暖化防止に向けた省エネ活動の推進
当社は、エネルギー管理委員会を設置してエネルギーの消費量節減と有効利用を推進しています。こうした活動を通じて地球温暖化防止に貢献することで、企業としての社会的責任を果たしていきたいと考えています。
エネルギー管理委員会は、全社で効果的かつ効率的にエネルギーが利用されるように、中長期的な視点で計画を策定・運用しています。この計画のもと、エネルギー消費量を中長期的に年平均1%以上低減させることを目標に、全社で一丸となって省エネ活動を推進しています。
具体的な活動内容として、食品工場では生産ラインの省エネ化に向け、老朽化した設備の更新と生産効率向上、それに運転時間の短縮化や電気需要の平準化に取り組んでいます。飼料工場では、機械のメンテナンスの徹底および製造ロス減少など生産効率向上を図っています。事務所では、社員に向けて省エネ啓発を行うとともに、休憩時間時の消灯、空調のこまめな温度管理を心がけるようにしています。
フードバンクを通じた食の支援
フードバンクとは、食品メーカーや小売店、一般家庭で不要となった、まだ食べられるのに廃棄処分してしまう食品(規格外品や余剰品など)の寄贈を受け、福祉施設や児童福祉施設、生活困窮世帯など、必要としている人へ届ける活動です。
フードバンク山口は「食の偏りを小さくする」ことを目標に、フードバンク活動を行っている特定非営利活動法人で、山口県内全域で、食品ロスの削減と食の支援のために活動しています。
当社はこれまで、規格外の変形などさまざまな理由により、正規品として販売することができなくなった食品はやむを得ず廃棄し、食品ロスとなっていました。これを有効活用することが食品ロスの削減と地域社会への貢献につながると考え、当社はフードバンク山口と連携し、対象となる食品の無償提供を開始しました。
対象となる食品は、賞味期限までに1カ月以上残っていて、常温保存ができるなどの条件を満たすものに限られ、適切な品質管理のもと、各施設や世帯に届けられます。
食べてもらうためにつくった製品を無駄にせず、少しでも必要としている人に役立てることができればと願っています。