エラスチンのヒト肌に対する有効性
方法
30代日本人女性20名に対して、エラスチン配合サプリメント摂取による肌への影響を評価しました。試験はプラセボ対照二重盲検試験法により行いました。
エラスチン群は有効成分として1日あたり「カツオエラスチン」75mgを、プラセボ群は有効成分を含まない錠剤を摂取しました。 摂取期間は4週間とし、肌の弾力性、シワ、血流を評価しました。また、実際の使用者の体感評価について、アンケートを行いました。
※(株)総合健康開発研究所にて実施
結果
肌弾力性の指標として頬の戻り率を比較した結果、エラスチン群では摂取4週間後で有意な弾力性の増加が認められました(図1)。
被験者の目尻のシワレプリカの形状解析によって得られたシワ体質、最大深度、最大幅、個数について、摂取4週間後のプラセボ群を100%とした時の、エラスチン群の各項目における相対値を確認しました。その結果、すべてのパラメータにおいて、エラスチン群のほうがプラセボ群よりも低い値を示し、シワ状態の改善が認められました(図2)。
また、エラスチン群の摂取前と摂取4週間後の右目尻部分のシワ(34歳女性)のレプリカ画像を示しました。
これを見ると、右目尻の上部の広範囲の小ジワが減少し、目尻の深いシワが目立たなくなっていることが確認できました。
レーザードップラー血流画像解析により得られた摂取4週間後の両群の頬平均血流量の比較を行いました(図3)。その結果、摂取前の平均血流量を100%とすると、両群において頬血流量の低下が確認されました。これは、本試験を1月から2月にかけて気温が低下する時期に実施したため、外気温の影響を大きく受けたことが原因であると考えられます。しかし、エラスチン群ではプラセボ群のような大幅な血流量の低下はなく、血流低下を抑制している可能性が示唆されました。
それを裏付ける一例として、プラセボ群の37歳女性では、摂取4週間後には血流量が33%も低下しているのに対し、エラスチン群の38歳女性では血流量に大きな変化はありませんでした(図4)。
皮膚の体感トラブルについてアンケート調査を行い、各項目の点数の平均値を計算し、摂取前を100として各群の摂取4週間後の比較を行いました(図5)。摂取4週間後のエラスチン群とプラセボ群を比較すると、「目元・口元のかさつき」、「メイクのノリ」、「メイクの持ち」について有意な効果が確認でき、「顔全体のかさつき」においても効果が期待できました。
また摂取前後比較について、図には有意性記号を示していませんが、エラスチン群では摂取前と比較して、「肌の柔らかさ」が有意傾向であることを除いて、すべての項目で有意な体感の改善が得られました。特に、メイクのノリや持ちについては1%の危険率で大幅な改善が認められました。一方、プラセボ群ではエラスチン群のような体感の改善は得られませんでした。
まとめ
カツオエラスチン経口摂取による皮膚への効果に関する試験において、エラスチン群では皮膚弾力性、シワ、頬血流の項目でプラセボ群に勝る結果が認められました。また、被験者の体感アンケートについてもプラセボ群と比較して非常に高い体感を得ることができ、特にメイクのノリや持ち、目元・口元のかさつきに関して有意な体感が認められました。これらの結果よりカツオエラスチンは、経口摂取による皮膚状態改善が期待できる美容性素材であることが明らかとなりました。
エラスチンのヒト血管に対する有効性
方法
試験は非盲検試験法により行い、有効成分として1日あたり「カツオエラスチン」75mgを含むサプリメントを摂取しました。 被験者は、20代から60代までの健康なボランティア50名(男性39名、女性11名)とし、試験開始前の血管老化偏差値が平均以下の者25名(男性18名、女性7名、平均年齢45.8±10.8歳)を選択した。摂取期間は16週間とし、血管への効果を評価しました。
結果
摂取前、摂取4週間後、8週間後、12週間後、16週間後の加速度脈波測定により得られたWaveform Index-1、b/a、d/a および血管老化偏差値を示すグラフを示します(図6)。
結果より、Waveform Index-1 は摂取4週間後から8週間後にかけて5%の危険率で有意な改善が認められ、以降摂取16週間後まで1%の危険率で有意な改善が継続しました。
また血管の弾力性を示すb/a、抹消抵抗を示すd/aについても、それぞれ摂取16週間後、摂取12週間後に有意な改善が認められました。またWaveform Index-1より算出した血管老化偏差値は、摂取4週間後には5%の危険率で有意な改善が認められ、さらに16週間後まで1%の危険率で、有意な改善が認められました。
まとめ
カツオエラスチン経口摂取による血管への効果に関する試験において、加速度脈波測定による血管状態に関するパラメータや血管老化偏差値の改善作用が認められました。また、Waveform Index-1については顕著な値の増加が認められました。このWaveform Index-1については詳細の検討がなされており、加齢とともに値が減少することが報告されています10)。つまり血管老化偏差値が低下したことに加え、Waveform Index-1 の値が増加したことを考えると、カツオエラスチンを1日75mg 経口摂取することで、血管状態が改善したと言えます。また、同時に実施した血液検査や理化学検査では、すべての被験者において試験開始前後での異常所見を示す変動は認められず、医学的問題は一切ありませんでした。
補足
加速度脈波(Acceleration Plethysmography:APG)
APG波形は心臓の収縮期の波形で、脈波を2次微分して得られる。標準的APG波形はa、b、c、d、e波の5つの要素波からなり、年齢によって形が異なる事が知られています。b波は血管壁弾力性を反映し、加齢によって浅くなります。d波は血管の拡張や収縮による抹消抵抗を反映し、加齢によって深くなります。
血管老化偏差値(Vascular aging score:VAS)
APG の波高比 b/a 、 d/a より得られる Waveformindex I =(d/a-b/a)は、加齢に伴い減少するため、 Waveform index Ⅰ の各年齢層における偏差値が、 Vascular aging score (血管老化偏差値)となります。
エラスチンの靭帯細胞活性化作用
(三重大学大学院工学研究科 宮本啓一 准教授との共同研究)
目的と方法
エラスチンは大動脈・項靭帯・皮膚・肺など、生体内の弾性を必要とするさまざまな組織に広く分布している弾性線維の主要タンパク質 (不溶性)であり、膝靭帯においても靭帯の力学的機能や生理学的機能に大変重要であることが予想されます。皮膚や血管におけるエラスチンは加齢とともに機能が低下することが知られており、同様に靭帯におけるエラスチンも機能および量的にも低下し膝の痛みが発症すると考えられます。そのため、膝十字靭帯細胞に対して賦活作用を示す物質は、靭帯の強化や損傷予防に有効であると期待されます。
そこで本試験では、ヒト膝前十字靭帯由来の線維芽細胞を培養し、カツオエラスチンと吸収ペプチド(Pro-Gly※)添加による細胞増殖作用、エラスチン発現促進作用、Ⅰ型コラーゲンとⅢ型コラーゲン発現促進作用を検討しました。
※吸収ペプチド(Pro-Gly)・・・カツオエラスチン経口摂取により吸収されるジペプチド
エラスチンとグルコサミン同時摂取による膝痛軽減作用
目的と方法
カツオエラスチンがヒト膝前十字靭帯由来の線維芽細胞を活性化し、 膝の靭帯状態改善の可能性が示唆されました。 膝の靭帯は膝の安定化に関与し、膝靭帯の状態が良好でなければ膝の不安定化により 膝痛が発症すると考えられます。
そこで、エラスチン単独摂取と、エラスチンとグルコサミンの併用摂取によると膝痛軽減作用を検証した。 試験方法は、 45 ~ 75 才の日本人男女 21 名(各群 7 名)に対して、 エラスチン配合サプリメント、またエラスチン+グルコサミン配合サプリメント摂取による 膝痛軽減の影響を、プラセボ対照二重盲検法で試験しました。
1日あたり、エラスチン群にはカツオエラスチン75mgを、エラスチン+グルコサミン群には カツオエラスチン75mgとグルコサミン1,000mgを摂取させました。 摂取期間は12週間とし、膝関節痛アンケート調査(JKOM)、運動量調査、日誌により 体感を調べ、膝痛軽減作用を評価しました。
結果
膝関節痛アンケート調査(JKOM)(図8)では、カツオエラスチン75mg単独摂取群では12週で痛みを低減する作用が確認されました。さらに、カツオエラスチン75mg+グルコサミン1,000mg併用摂取群ではエラスチン単独摂取群より効果的な膝痛軽減作用が確認され、エラスチン+グルコサミン併用摂取による膝痛軽減の相乗効果が確認されました。
歩数による運動量調査(図9)では、本試験を夏場(6月~8月)に実施したため12週目(8月)で被験者の外出敬遠による歩数の減少が見られましたが、エラスチン+グルコサミン併用摂取群では歩数の改善作用が示唆されました。
日誌による体感調査(図10)では、摂取前やプラセボ群と比較して、エラスチン単独摂取群とエラスチン+グルコサミン併用摂取群で有意な体感効果が認められました。特にエラスチン単独摂取群では、「しゃがみ込みや立ち上がり」や「階段の昇り降り」で改善が見られ、膝の屈伸運動時に体感効果があることがわかりました。
これより、カツオエラスチン75mg単独摂取で膝痛軽減作用が確認されました。さらに、カツオエラスチン75mg+グルコサミン1,000mg併用摂取でも膝痛軽減の相乗的な膝痛軽減作用が確認されました。
図10 日誌による体感調査(12週目)
参考文献
- 10)HTAKADA:Health Evaluation and Promotion, 29(5):855-861(2002)